
日本語のコミュニケーションでは、わざと声を高くして話したり、高い声で受け答えしたりすることがよくあります。また、電話で声を少し変えて話したり、元気がないのに無理やり明るく話したりすることもあると思いますが、日本語ではそれがごく普通のことなので、ふだんから意識している人はあまりいないかも知れません。
しかし、英語でのコミュニケーションでは、わざとらしい高い声や、無理やり声を作って会話することは、悪い印象を与えることがあります。
特に欧米の感覚では、通常、高い声で話しかけることは、子供や動物を相手にするような印象があり、大人同士の会話では相手をバカにしていると捉えられることもあります。例えば、別れ際に「バイバ~イ」と高い声であいさつすることがありますが、これは相手がネイティブの場合はおすすめできません。そもそも"Bye-bye"という言葉自体は幼児語として考えられているので、大人同士が使う言葉ではありません。大人同士のくだけた場面で使うとしても、"Bye-bye"ではなく"Bye"としておく方が無難でしょう。
また、日本語のコミュニケーションでは、相手の話を聞いているという態度を表すために、丁寧な受け答えをしたり、一言ごとに相づちを入れたりすることで、相手に良い印象を与えるものです。しかし、これも英語ではまったく逆効果になります。丁寧な話し方や受け答え、多すぎる相づちは、機械的で他人行儀な印象があり、話をきちんと聞いていない・話に興味を持っていない・誠実さが無い・本気で話を聞いていない、などと思われてしまい、良くない印象を与えます。
つまり、英語で会話をする時は、「コミュニケーションの感覚が日本語とは異なる」ということを意識しなければならないのです。考えてみれば当たり前なのですが、外国人を相手にする時、日本のやり方や考え方がそのまま相手に通じるわけではありません。
ビジネスで外国人相手のマーケットに入って行こうとする時は、特に大切です。ミーティングや商談などの場で、ちょっとした感覚の取り違えのせいでその場の雰囲気が悪くなったり、誤解が元となって相手に気まずい思いをさせたりするようでは、うまく行く話もまとまらないでしょう。
海外では、日本人同士で当たり前になっている話し方や仕草が、同じように外国人にも通用すると思っていてはいけません。ただ英語で話せば良い、という単純なことではないのです。ビジネスの場では特に、言葉はもちろん、話し方、仕草など、「海外ではどうすれば相手にとって失礼にならないのか」ということを知っておく必要があるのではないでしょうか。
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