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  • Kaz Hattori

辞書には直訳の危険がいっぱい



竹林には独特の風情があることから、アジアらしさを求める欧米の観光客にも人気のようですね。竹の表面はなめらかなので、たしかに文字が書けそうですが、竹林に生えている竹に対してそんなことをしてはいけません。


今回は、先日も英語版のブログで取り上げられたこちらの看板についての分析です。

まず日本語の文を見ると「壊す」という言葉が使われています。「竹林を壊す」と聞くと、根こそぎ掘り起こしてマンションを建設するかのような、竹林という存在自体を破壊するという解釈もありますが、ここではそのような「再開発反対!」みたいなメッセージにはなりませんよね。少なくとも、多くの日本人にとっては、書いてある文字通りの意味ではないということは伝わると思います。なぜなら、その次に「落書きは犯罪です」とあるので、「竹に落書きすることで、この竹林の持つ風情を損なわないでください」という意味であることがはっきりわかるからです。


一方、英文を見ると"deface"という単語が使われていますが、これはネイティブにとっては「塀や建物に描かれる落書き」を想像する言葉です。おそらく、和英辞典で「落書き」を調べて出てきた単語を、そのまま使用したのでしょう。ところが残念なことに、たいていの辞書は、その言葉が使われても良いとされる状況・文脈や、ネイティブがどういう意味として使っているのかなどは教えてくれません。


さらに、日本語の文にあった「落書き」に該当する言葉は英文にはありませんので、どういう意味なのかを推測しなければならない文となってしまっているのです。つまり、ネイティブにとっては「落書きできるような建物はここにはないのに、竹の森を"deface"するなって、どういうこと?」と混乱するような文なのです。


英文はさらに "Defacing the bamboo should be a crime." と続きます。

日本では、見知らぬ人に対してはっきりと物を言うことは無礼とされる場合もありますが、日本語の文でははっきりと「犯罪です」と言い切っています。対して、英文では"should"が使われていて、はっきりと断言せずに、犯罪であるということを望んでいるかのような表現となっている点が不思議ですね。日本人でも外国人でも、犯罪には違いありません。


ちなみに日本人の英語学習者にとって、ネイティブが使う"should"の感覚には慣れが必要かも知れません。学校の授業や英和辞典では主に「~するべき」とされていますが、ネイティブはそれ以外の意味で頻繁に使います。いずれにしても"should be a crime"とは、犯罪なのかどうなのかがはっきりしない表現で、警告としてはあまり適切とは言えません。


外国語をローカライズする時や海外とのビジネスでは、相手の誤解や混乱の元となるようなあいまいな表現を避け、ネイティブが実生活で使う言葉で伝えることと、そもそも何を伝えたいのかを十分に理解しておくことが重要となります。もちろん、そのためには文化・習慣の違いを十分に認識しておかなければなりません。


グローバライズコンサルティング合同会社では、英語圏での実際の感覚や「文化・習慣の違い」を踏まえて、海外事業やローカライズに関して長年の実績を持つプロのコンサルタントが的確にサポートしています。お気軽にお問い合わせください。


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